「ただ、ただ貴方に会いたかった。もう一度会って、話して、ずっと傍にいたかった。
貴方も知っているだろう?『ニコラス』は亡くなった。射殺だ。
何者かによって個室に閉じ込められ、拳銃で撃ち殺され、出血多量により死亡した。
犯人は不明、現場にもニコラスの出血痕や指紋、その他服の繊維や凶器等
…証拠という証拠は残っていない。監視カメラにも黒い塊意外、何も写っていない。
けれど、確かに彼は殺された。…貴方も、あの現場にいた。
ならば、その事実は既に知っている筈だ。」
「何度でも言うよ。そのニコラスの生まれ変わりが僕だ。
ニコラスのクローン実験によって製造された、
彼のレプリカである僕だ。記憶だって引き継いでいる。
彼のプロフィール、経歴、生い立ちも、人間関係も。
…一部の記憶を除いては、鮮明に覚えている。
けれど、貴方は僕が『ニコラス』じゃないと言う。
僕は『ニコラス』じゃなくて、偽物だと。
じゃあこの記憶は?この気持ちは?この足で支えている人間は?本当の僕は誰なの?
僕が『ニコラス』でないのならば、そこの動かない体が『ニコラス』だとでも言うの?彼はもう死んでいるのに?」
「…それでも、たとえ偽物でも、僕は貴方が大好きだったんだ。」
××